「創世3-4章;モーセ4-5章」『旧約聖書 インスティテュート教師用手引き』
「アダムとエバ」ダグラス・M・フライヤー画
創世3-4章;モーセ4-5章
前世において、イエス・キリストは天の御父の御心に従い、わたしたちの救い主となるよう選ばれました。サタンは選択の自由を損なおうとしました。サタンはエデンの園でアダムとエバを誘惑し、それが堕落へとつながりました。アダムとエバの堕落は、この世に肉体の死と霊の死をもたらしました。堕落は逆境や悲しみ、罪をもたらしましたが、同時に選択の自由を行使し、学び、成長し、子供を授かる能力を得る機会ももたらしました。イエス・キリストの贖いの犠牲によって、わたしたちは墜落の影響を乗り越えることができます。
そのほかのリソース
『聖文ヘルプ:旧約聖書』「創世3-4章;モーセ4-5章」
注:「コースの紹介」では、以下に続く標準的なレッスン要素の活用方法に関する指針が示されています。
個人学習を促す
クラスの前に、以下のメッセージのうち一つまたは複数を、あるいはあなた自身が作ったメッセージを生徒に送るとよいでしょう:
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なぜ選択の自由は、天の御父の救いの計画の中でそれほど重要な要素なのでしょうか。モーセ4:1-4を研究するとき、この質問について考えてください。
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これまでに、自分の過ちを神から隠したいと感じたことはありますか。モーセ4:13-19、27を研究するとき、自分が行ったことにかかわらず、イエス・キリストに立ち返ることが、あなたにどのような祝福をもたらすかを考えてください。
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モーセ4:5-32と5:1-12を研究するとき、アダムとエバの堕落によってあなたが受けることのできる祝福について考えてください。
質問し、分かち合う
創世3-4章およびモーセ4-5章に関して、生徒が質問したり、個人的に学習して見つけた洞察や真理を分かち合ったりする時間を設けてください。
スキルトレーニング
モーセ4:1-4は、『聖文研究のスキル』の「聖文の中の対比を探す」スキルを使うのに役立つかもしれません。モーセ5:4-12を研究するときに、「聖文の象徴を理解する」スキルを使うこともできます。
学習活動のオプション
あなたと生徒のために、複数の学習オプションが用意されています。あなたのクラスにとって最も意義深いと思われる選択肢を一つ以上、祈りをもって選んでください。
教え方と学び方を改善する
教師自身が、イエス・キリストの教義を学ぶ。生徒を教える準備をしながら、自分自身で救い主の教義を研究し、深く考え、学ぶことは力になります。これについてさらに詳しく学ぶには、「救い主は教義を学ばれた」(『救い主の方法で教える』20-21)を参照してください。クラスで自由回答の質問をすれば、生徒は自分で救い主の教義について深く考え、表現し、さらによく学ぶことができます。
わたしの選択の自由はなぜ大切なのだろうか
以下の質問を見せ、二人一組で話し合ってもらってください。生徒が助けを必要としている場合は、話し合いを始める前に、「トピックと質問」「選択の自由と責任」(「福音ライブラリー」)を研究するとよいでしょう。
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選択の自由とは何でしょうか。
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どうして選択の自由は大切なのでしょうか。
モーセ4章には、天の御父がイエス・キリストをわたしたちの救い主として選ばれた、前世における天上の会議に関する記述があることを説明します。選択の自由は、この前世における会議で持ち上がった主要な問題の一つでした。生徒に、今日研究するとき、選択の自由の大切さとそれを守る方法について学べることを見つけてもらいます。
生徒に以下の研究活動を見せ、二人一組または少人数のグループで行ってもらうとよいでしょう:
モーセ4:1-4を研究してから、次の質問について話し合ってください:
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天の御父とイエス・キリストの言葉とサタンの言葉における対比としてあなたが見つけたものは何ですか。
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これらの聖句で、選択の自由がどのように尊重されたり、無視されたりしているのを見ましたか。
研究と話し合いから得た洞察をクラスで分かち合うよう様々な生徒を招いてください。分かち合うときに、次のような真理を話すことができるかもしれません:イエス・キリストは謹んで天の御父の御心を行われる。サタンはわたしたちの選択の自由を損ない、囚われの身に陥れようとする。
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サタンは今日、どのようにしてわたしたちの選択の自由を損なおうとしているでしょうか。この話し合いの一環として、ポール・V・ジョンソン長老の次の言葉を分かち合うとよいでしょう。
「サタンは今も人々を欺き、惑わし、意のままにとりこにしています。もしサタンが人々をとりこにしているとしたら、それは選択の自由を損なっていると思いませんか。
実際、サタンは前世で選択の自由を損なうことはできませんでしたし、今でもそうすることはできません。しかし、サタンはわたしたちが罪を犯すよう誘惑し、とりこにしています。罪を犯すとき、わたしたちはサタンの支配下にあります。つまり、選択の自由の一部を彼に委ねているのです。サタンはわたしたちの選択の自由を奪うことはできませんが、わたしたちが手放すことはできます。」(「Free to Choose(選ぶ自由)」 Ensign, Feb. 2019, 64)
わたしたちの選択の自由を損なおうとするサタンとは対照的に、イエス・キリストはそれを保ち、守ろうとしておられることを説明します。
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天上の会議における天の御父とイエス・キリストの行動は、あなたの選択の自由をどのように守ったでしょうか。
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天の御父とイエス・キリストは、今日、どのようにしてあなたの選択の自由を守り続けてくださっているでしょうか。(この話し合いの一部として、ジョンソン長老の次の言葉を分かち合うとよいでしょう。)
「サタンに従うとき、わたしたちはサタンに力を与えます。神に従うとき、神はわたしたちに力を与えてくださいます。これはわたしたちがこの世界から受け取るメッセージではなく、真理なのです。真の力、すなわち救い主のようになる力は、従順の中にのみ見いだされます。真の自由は、肉の意志や悪魔の意志に従うのでなく、神の御心に喜んで従うこと、つまり従順によってのみ見いだされます。従順は自由、力、喜び、平安、希望をもたらします。
……義にかなった生活により、サタンがわたしたちに行使しようとするいかなる力からも自由になることができます。サタンは、わたしたちの選択によってそれが許されたときにのみ、力を得るのです。生活の中でわたしたちを悩ませ、縛りつけているものがあるなら、悔い改めましょう。それらを取り除き、生活における自由を増やしましょう。」(「Free to Choose(選ぶ自由)」 69)
サタンはどのようにしてわたしたちをとりこにしようと試みているかについて、生徒が深く考える時間を取ります。イエス・キリストが増やしてくださる自由を経験できるように、イエス・キリストにさらに完全に頼るためにできる行動について考えるよう生徒を励まします。考えや受けた印象を書き留めてもらいます。
イエス・キリストはわたしが罪を犯したとき、どのように助けてくださるだろうか
以下のシナリオを紹介するとよいでしょう。
ルーカスは最近、恥ずかしいと思う間違いを犯してしまいました。神が自分の話を聞きたいと思っておられるかどうか確信が持てないため、彼は祈るのをやめました。今は、自分が神に気づかれたいと思っているかどうかさえ分かりません。
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ルーカスの置かれている状況に対する彼の対応についてどう思いますか。
禁断の実を食べた後のアダムとエバの行動は、わたしたちが神の戒めに背いたときに向かうべき場所について、重要な教訓を教えてくれることを説明します。(必要に応じて、モーセ3:15-17;4:5-12を研究して、アダムとエバが実を食べた話を復習するとよいでしょう。)今日研究する真理を自分の生活にどのように当てはめることができるかについて、天の御父に理解を求めるよう生徒を励まします。
モーセ4:12-19、27を一緒に研究します。生徒に、ルーカスが自分の過ちの捉え方を見直すうえで助けとなる真理を、これらの聖句から見つけてもらいます。二人一組か少人数のグループで、生徒が自分の考えを分かち合う機会を設けます。掘り下げた話し合いができるようにするために、次のような質問を表示するとよいでしょう:
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アダムとエバはなぜ神から身を隠そうとしたと思いますか。現代の人々は、どのように神から「隠れ」ようとすることがあるでしょうか。
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「あなたはどこへ行くのか」という神の問いかけから何を学ぶことができますか(15節)。
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27節で、神はどのようにアダムとエバをお助けになりましたか。わたしたちが背きに陥ってしまったとき、主はどのように助けてくださるでしょうか。
生徒が話し合いを終えたら、神がアダムとエバに与えられた「皮の衣」には重要な象徴的意味があることを説明します。J・アネット・デニス姉妹の次の言葉を紹介してください。(または、「創世3:21;モーセ4:27。神がアダムとエバに皮の衣を着せられたことにどのような意味がありますか」(『聖文ヘルプ:旧約聖書』)を研究してもよいでしょう。)
「神殿で神と聖約を交わすことを選ぶ、末日聖徒イエス・キリスト教会の会員は、神殿で礼拝する際、儀式用の神聖な衣装を着用します。これは、古代の神殿儀式で用いられていた衣装の象徴です。また、神殿でも、そして日常生活でも、聖なる神権のガーメントを着用します。
聖なる神権のガーメントは非常に象徴的で、なおかつ主を指し示すものです。アダムとエバは実を食べてエデンの園を出て行かなくてはならなかったときに、自分たちの身を覆う、皮の衣を与えられました。その衣を作るために、恐らく動物が犠牲になったのではないかと思いますが、それは救い主が自らをわたしたちのためにささげてくださった犠牲の象徴です。「カファル」という、贖罪を指すヘブライ語には、「覆う」という意味もあります。神殿ガーメントは、救い主と、主の贖罪の祝福が終始わたしたちを覆っていることを思い起こさせてくれます。毎日聖なる神権のガーメントを身に着けるときに、このすばらしい象徴が自分の一部となるのです。」(「あなたがたは、主イエス・キリストを着なさい」『リアホナ』2024年5月号、11)
生徒に、デニス姉妹の言葉からイエス・キリストと神殿ガーメントについて学んだことを発表してもらいます。(生徒には自分の言葉を使って、次のような真理を見つけてもらいましょう:神殿ガーメントは、イエス・キリストと主の贖罪の祝福を象徴的に表している。)
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この真理を理解することは、神殿の祝福を進んで受け、聖なるガーメントを着用する意欲にどのような影響を与えるでしょうか。それは、天の御父とイエス・キリストに対する自分の気持ちにどのような影響を与えるでしょうか。
ジェフリー・R・ホランド会長の次の言葉を紹介し、印象に残ったことを生徒に分かち合ってもらうとよいでしょう。
「ガーメントを着るとき、大管長会が教えているように、わたしたちはイエス・キリストの神聖な象徴を身にまとっているのです。そうであるとすれば、なぜわたしたちはその象徴を身に着けなくてもよい口実を探そうとするのでしょうか。なぜガーメントが象徴する力や守り、憐れみなどの約束を、自ら逃すのでしょうか。逆に、一時的にガーメントを脱がなければならないときはいつでも、またすぐに着用することを熱望すべきなのではないでしょうか。聖約を意味付ける約束と危険の両方を覚えているからです。何より、まずわたしたちはキリストの十字架と空になった墓を思い起こします。
『イエスを思い起こす方法はほかにもあります』と言う人に、わたしはこう答えます。それは良いことです。方法は多ければ多いほど良いものです。『いつも御子を覚え〔る〕』という決意を守るために、皆でできるかぎり多くの方法を考えましょう。しかし、その際、エンダウメントを受けた者に主御自身が与えられた聖なる神権のガーメントを見過ごすのは道理に反しています。」(「聖なる神権のガーメント」『リアホナ』2024年9月号、7)
話し合ってきた真理について証します。これまで学んできた真理をどのように当てはめることができるかについて、聖霊から受けた霊的な印象を生徒に記録してもらいます。受けた霊的な印象に従って行動するよう勧めましょう。
アダムとエバの堕落はわたしにどのような影響を与えているでだろうか
生徒が到着する前に、ホワイトボードの片側に、平和、成長、満足、喜び、幸福などの言葉を書き、反対側には痛み、不安、悲しみ、けが、悲嘆などの言葉を書くとよいでしょう。
クラス全員に、最近これらのいずれかを経験したときのことを考えてもらいます。また、次のように尋ねてもよいでしょう:
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アダムとエバの堕落は、わたしたちがそのような感情や経験をするうえでどのような役割を果たしたでしょうか。
この学習活動では、生徒が堕落によってどのような影響を受けているか、また堕落の影響を克服するうえでイエス・キリストが果たされた重要な役割について学びます。研究を始める前に、数人の生徒に、アダムとエバの堕落に至るまでの出来事について知っていることを発表してもらうとよいでしょう。(必要に応じて、モーセ3:15-17;4:5-12を一緒に研究するとよいでしょう。)
次の表を提示して、生徒に自分自身のバージョンの表を作ってもらいます。時間を取って、表を完成させてもらいます。各自で行ってもらっても、二人一組で行ってもらってもかまいません。(『聖文ヘルプ:旧約聖書』の「これらの聖句に関連する項目」を研究してもらってもよいでしょう。)
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堕落の結果…… |
イエス・キリストのおかげで…… |
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堕落の結果…… モーセ4:22-25、28-31;5:1-4;6:48-49 (2ニーファイ2:19-25;モーサヤ3:19も参照) | イエス・キリストのおかげで…… |
十分に時間を取ってから、生徒たちに表の二つの列に記入した答えを発表してもらいます。生徒の答えには次のような真理が含まれているかもしれません:堕落は天の御父の救いの計画において不可欠な部分であった。もしアダムとエバが堕落しなかったなら、二人が子供を持つことはなかった。堕落の結果、すべての人は肉体の死と霊の死を経験する。イエス・キリストを通して、わたしたちは堕落から贖われる。
生徒がこれらの真理の重要性をよりよく理解し、感じられるように、次のような質問をするとよいでしょう:
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なぜ堕落が天の御父の救いの計画において根幹を成すものであったのでしょうか。
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堕落を理解することは、イエス・キリストの必要性をよりよく理解するうえでどのような助けになるでしょうか。
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堕落は、天の御父が御自分の子供たちに対して抱いておられる愛と希望について、どのようなことを明らかにしているでしょうか。
以下の言葉の幾つかを、話し合いの様々なポイントで引用すると役立つでしょう。
「人は飢えを感じなければほんとうに食べたいとは思いません。それと同じように、人はなぜキリストが必要かを理解するまで、キリストの救いを得たいとは思いません。堕落に関する教義と堕落が全人類に及ぼした結果を理解し受け入れるまでは、なぜキリストが必要なのかを、正しくまた十分に理解することはできません。」(エズラ・タフト・ベンソン「モルモン経と教義と聖約」『聖徒の道』1987年7月号、96)
「この世は元々不公平なのです。……不公平な状況でわたしたちがするべきことの一つは、『人生の中で経験するすべての不公平なことは、イエス・キリストの贖罪によって正される』と信じることです〔『わたしの福音を宣べ伝えなさい-伝道活動のガイド』52〕。イエス・キリストは世に打ち勝ち、あらゆる不公平を『取り去ら』れました。主がおられるので、わたしたちはこの世で平安を得て元気を出すことができます。」(デール・G・レンランド「憤りを感じるほどの不公平」『リアホナ』2021年5月号、42-43)
「アダムとエバは、御父の偉大な幸福の計画に参加することを選択したすべての人に代わって行動しました。彼らの堕落により、肉体の誕生や神のもとを離れた現世での経験と学びに必要な状況が整いました。堕落とともに、善悪の知識と神から与えられた選択の力が与えられました。最終的には、堕落によって、わたしたちの現世の生涯を一時的なものとするために必要な肉体の死がもたらされました。」(D・トッド・クリストファーソン「なぜ結婚、なぜ家族か」『リアホナ』2015年5月号、51)
締めくくりとして、生徒に、堕落は悪いことであり、この世のあらゆる悪の根源であると感じていて、なぜ教会員はそれを良いことだと思っているのか疑問に思っている人と話していると想像してもらいます。どのように対応するかを二人一組で練習する時間を取るとよいでしょう。