リアホナ
確かな証で招く
『リアホナ』2026年2月号


親世代の証

確かな証で招く

わたしの息子は小学6年生です。31人クラスで、たまたま3人席になりました。息子はいちばん右で、真ん中に女の子、左が男の子です。その男の子はカトリック教会に行っているとフランクに話していました。息子も、給食でコーヒー味のミルメークを取らないなど、教会員であることを普通に公にして、別に恥ずかしいとも思っていませんでした。

ところが社会の授業でキリスト教について学んだとき、真ん中の女の子がクラスの子に、「信者に囲まれてかわいそう」と冷やかし半分に言われたのです。

息子は、普段使わない「信者」という言葉に傷つき、悲しみを覚えました。帰ってわたしと話したとき、「ぼくは自分で選んで教会員になったわけじゃない」と言いだしました。

「でも、バプテスマを受けたときには自分で選んだよね」

「もう忘れた」

岡山ワードには、息子と同じ年に生まれた子が息子を含めて4人います。彼らは皆、3世です。そのお友達がバプテスマを受けるので、「何となく流れで受けた」みたいに言うのです。

「神様やイエス様も、いるか分からんし」

「モーセは海を分けたでしょう」

「物語でしょ、そんなの本当にあるわけないやん」

友達の言葉に挑発されて、一時はそんなことを言っていました。その息子の姿を見て、かつてのわたしのことを思い出したのです。

2世に生まれて

わたしは教会員の両親の下に生まれた2世です。青少年を卒業してYSAになるとき、前に立ってお話ししてくださいと扶助協会で言われ、こんなことを公言しました。「わたしはこの教会が正しいかどうかまだ証がなく、証が得られるまで神殿結婚は絶対にできません。結婚して生まれた子供に福音を受け継ぐとき、もし、自分に証がなければ、自分の宗教を押し付けることは到底できないからです。」

その後、25歳の頃、自身のエンダウメントを受けるべきかどうかを尋ねるために、毎月神殿に通って、身代わりのバプテスマを受けつつ、ずっと祈り続けました。そのときは何も答えがありませんでした。

自分自身の証

そうして1年くらいたったとき、当時のアジア北地域会長会だったデビッド・F・エバンズ長老のファイヤサイドがありました。広島の会員にメモしてきてと頼まれていたので、エバンズ長老のお話にすごく集中して書き留めていました。

そのとき、右後方から日本語で、普通に会話をするような声で話しかけられます。

「……。」

わたしはお話のメモに集中していたので、ちょっと待って、という感じで無意識に頭から追い払いました。

ところが背後からもう一度、同じ声が聞こえます。「ん?」振り返ったけれど、皆エバンズ長老の方を見てお話に聞き入っています。そこではっと気づきました─これは御霊の声だ!

そして3回目、また同じ声が聞こえます。わたしは言われた言葉をそのまま急いで手元の紙に書き留めました。それは、“主はわたしが儀式と祝福を受けるのを喜んでくださる”といった意味で、まさに1年にわたる問いへの答えだったのです。

数か月後、この言葉について思い巡らしていたとき、すごくたくさんの霊が─先祖だけでなく子孫も─わたしがエンダウメントと神殿結婚を決意することで祝福を受け、喜んでいると御霊を通して感じ、涙が止まらなくなりました。

わたしは、2世として初めて確固とした証ができました。信仰箇条第1条の「永遠の父なる神と、その御子イエス・キリストと、聖霊」が本当に存在すると知りました。そこで信仰の全部の点が一つの線になったのです。わたしが言われたことを書き留めたように、ジョセフ・スミスも主の御手に使われて聖文を記したのだな、と理解できました。

子どもとの対話

息子と話したのは、福岡神殿へのステーク青少年団体参入を控えたタイミングでした。息子には重度の食物アレルギーがあって、ほんの少しの量が混入しても症状が出ます。ステークの1泊2日のファミリーキャンプのとき、4回の食事を全部持ち込んだくらいです。それで、息子が安全に神殿へ行けるよう、ステーク役員が食事やプログラムを2週間くらいずっと調整してくださっていました。そんなときに息子の信仰が揺らいでいたのです。

「ママはこの教えが正しいって本当に思っているから、子どもたちにも教会へ行くように勧めているんだよ。うちの家族に生まれたことで嫌な思いをした?」

「いや、全然」

「教会に行くことでたくさん幸せを得てるし、たくさん祝福があるっていうのはママもパパも分かっているから。幸せでなかったらママもパパも行かないよね。」

「ぼくは今、信仰がないけど神殿に行っていいのかな?」

神殿の儀式カードももう用意してありました。「今きっとこの人たちは、儀式を受けられると思ってとても喜んで待っていると思うよ。神殿の儀式を受けるときにはあっくん(息子)の身体を使うってこと。先祖の人たちは信仰をもってこの儀式を受け入れてくれると思う。だから大丈夫だよ」

「じゃあやっぱり行こうかな」

わたしと色々と話した後、息子はこう言い添えてくれました。「信仰はないかもしれないけど、神権の祝福は信じているよ。」

息子は結構頻繁にアレルギー症状が出ます。神権の癒しの祝福を受けることで何度も助けられてきました。

身をもって知る

2024年1月5日の金曜日のことでした。長女の初めての神殿参入で、茨城に住んでいる妹の娘が同じ学年だったので、一緒に身代わりのバプテスマを受けようと親族で東京神殿に集まりました。主人は仕事のため行けなかったので、兵庫にいるわたしの母が同行し、子どもを見てくれることになりました。

無事に儀式を終え、金曜日の夜8時ごろに東京神殿を出発、帰途につきます。軽自動車をわたしが運転し、助手席に母、後部座席には息子と娘が座っていました。

新東名高速に入り、日付が変わったころです。息子がもらったお菓子を口にしました。すぐに口の中がかゆくなり、アレルギー症状だと気づきます。原材料に脱脂粉乳が入っていたのを母が見落としていたのです。

時は深夜、車はちょうど静岡県の西の山間部を通過中です。救急病院を探すにしても都市部に行かなければなりません。制限速度の120kmで先を急ぎました。でも息子はだんだん苦しくなってきます。

本当に一刻を争うような感じになったとき、神様を頼ろうと思いました。でも、ここには神権者はいません。

そこで携帯電話を主人と繋ぎ、お祈りをしてもらいました。息子は電話口から聞こえる父親の祈りの声に耳をすましています。

やがて─

「何か、大丈夫になってきたかも」

息子はそう言いました。

頭にも手を置かず、癒しの油も注いでいません。けれども、症状は良くなっていきました。結局、病院には行かずに済み、そのまま帰ることができたのです。

そうした経験を通じて、息子の中に、神様の力に対する証は揺るぎなくありました。

真の改宗の時

今回の福岡神殿参入で、祈りのリストに高校生の青少年が記入している姿を見た息子は、帰ってこう尋ねました。

「これって自分の名前も書いていいの?」

「もちろんいいよ、あっくん自分の名前を書きたいの?」

「書きたい、ちゃんと自分の信仰と証が持てるように」

息子が話したことを兵庫の母に伝えると、「え、神殿の祈りのリストへ2週間ごとにわたし、あっくんの名前をいつも書いてるよ。伝えておいて」とのことでした。

ちゃんと証を得ることは自分だけの問題ではありません。わたしの中の親の覚悟としては、子どもに適当なことを教えられないという気持ちもありました。もしかしたらうそかもしれないと自分が思うことを子どもに伝えることはできません。

真の改宗をした経験が自分の中で大きかったので、2世、3世にはいつか必ずそういう機会が来ると思っていました。ただ、わたしの場合は25歳ごろ、息子はまだ小学生なので逆にびっくりしました。こんな小さいときから真剣に考えていることに尊敬の念を抱きます。わたしのときと同じく、点が線になるように、子どもたちの信仰と証が強くなることを願っています。◆

脚注

  1. 学校給食で定番の、冷たい牛乳に溶かす粉末コーヒー。ココア味、いちご味などもある

  2. Young Single Adult の略。当時は18 歳から30歳までの若い世代の独身成人を指した

  3. エバンズ長老は2005年8 月からアジア北地域会長会顧問、2006 年8 月からアジア北地域会長を務めた

  4. 食物アレルギーの症状は多岐にわたるが、個人によってはアナフィラキシーなど生命に関わる場合もある

  5. 新東名高速道路は一定の区間、制限速度を時速120kmで運用している