2025
伝道の文化をもう一度日本に!
2025年3月号


Message for Japan ─日本へのメッセージ

伝道の文化をもう一度日本に!

─成人会員のための伝道ディボーショナル─

2025年1月11日(土),東京神殿別館にて,成人会員を対象とする全国伝道ディボーショナルが行われた。地域七十人のサブストローム長老が司会を務める中,アジア北地域会長会のジョン・A・マキューン会長夫妻,クリストファー・H・キム長老夫妻に加え,地域七十人の今井いまい裕一ゆういち長老,ダーウィン・ハルヴォーソン長老,はら伸二郎しんじろう長老,川島かわしまだん長老,また日本東京北伝道部のリード・T・デシュラー会長夫妻,日本東京南伝道部のスティーブン・W・トゥーラー会長夫妻,アジア北地域シニア宣教師アドバイザーの石井いしい哲志てつじ長老夫妻が壇上に並ぶ。会場のみならず,オンラインを介して集った日本各地の会員がメッセージに耳を傾けた。最初にサブストローム長老が,昨年12月の地域会長会からの手紙で知らされた,シニア専任宣教師の住居費変更について分かりやすく説明する。(本誌L1ページ記事参照)

石井哲志長老:喜びの経験

石井長老姉妹は,3年ほど前からシニア宣教師アドバイザーを務めている。彼らの役割は,シニア伝道に関してアジア北地域の神権指導者をサポートすることだ。石井長老はまず,シニア宣教師の軍勢の集合写真を見せる。皆,生き生きして喜びに満ちているように見える。壇上から石井長老は,こう提案する。「すぐにはシニア(専任)宣教師として家を離れて奉仕できないにしても,その喜びの経験を積んでいただくために,シニア奉仕宣教師として奉仕していただくようにお招きします。」シニア奉仕宣教師の場合,自宅に居ながらパートタイムで召しを果たすことができる。追加の居住費等もかからないため(伝道せずとも日常生活を送るのに必要な負担程度)経済的障壁が低く,家族の介護といった事情があっても奉仕可能だ。そこで「喜びの経験」を味わって知ることで,シニア専任宣教師(フルタイム)へのステップにもなりえる。石井長老はネルソン大管長の言葉を伝える。「〔シニア宣教師たち〕の働きは本当にかけがえのないものです。」石井長老はまた,最も大切な二つの戒めに言及する。「心から主なる神を愛する『縦の関係』がしっかりしていないと,隣人を愛する『横の関係』は難しい」との,十二使徒のウークトドルフ長老の教えを説き,(伝道は)「愛が出発点です」と強調した。続けて石井姉妹が,伝道の喜びの経験を語る。

石井いしい章恵ふみえ姉妹:「わたしのことだな」

「気持ち良く座って笑っている場合ではありません。」 ─定年後は何をしようかと夫婦で話し合っていた矢先,シニア宣教師を求める十二使徒のホランド長老の言葉が心に刺さったという石井姉妹。「わたしのことだな,と思いました。ニコニコ笑っているのはわたしたち。じゃあ伝道に出なきゃと思って。」日本福岡伝道部での奉仕を希望すると,いちばん南の石垣島に割り当てられた。知っている人がだれもいない土地での伝道─行く当てもなく,地域のラジオ体操に参加することから始めた。また,教会から足が遠のいている兄弟姉妹の家を一軒一軒訪問しようと決めた。元来人と話すのは苦手だったが,経験を積む中でどんどん積極的に働きかけることができるようになった。「それはわたしの大きな変化です。」若い宣教師たちとともに試行錯誤しながら励んだ日々を「ほんとうに楽しかった」と振り返る石井姉妹は,「自分の特技を活かして」シオンの王国を建設しましょう!と呼びかける。

石井哲志長老:ぐるぐる回り続ける

ここで,「皆さん回転寿司はお好きでしょうか?」そう問いかける石井長老は,シャリをシニアの兄弟姉妹,ネタを彼らの経験・賜物・才能にたとえ,回転寿司は伝道活動のようだと説く。「わたしたちにできるのは,ぐるぐる回り続けることです。経験,賜物,才能を生かしながら,とにかく手を差し伸べ続けることです。そして,いつかその寿司を取って食べる人のように,ある方が皆さんに触れて,皆さんを通してイエス・キリストを近くに感じることができれば,それは素晴らしい伝道だと思いませんか?……ぜひ楽しんでください。喜んでください。これは喜びの召しです!」

川島かわしま妙子たえこ姉妹・あきら長老:家族の試練の中で

続いて,千葉ステーク出身,札幌伝道部で奉仕する川島長老姉妹が登壇する。川島ご夫妻の末の娘ががんに侵されていることが判明したのは,5年半程前のこと。即刻入院生活を余儀なくされた娘に代わって,義理の息子とともに,5歳と1歳の孫たちの世話に奮闘する日々が始まった。川島姉妹は,孫たちの前では何とか笑顔で過ごしていたが,突然降りかかった大きな試練に,心の中は真っ暗だった。「今まで以上にほんとうに神様に頼るというか,祈ることしかできませんでした。」2年程の歳月が過ぎた頃,かすかな光が見え,これまで何十年もの間,数え切れないほどの祝福を受けてきたことが思い出された。「神様に対して,もっと何かできるんじゃないか,何かしたい,もっと感謝の気持ちを表したい,ほんとうにそんな気持ちになりました。」夫婦の祈りをささげる中で,いつしか伝道に出た方が良いのではと思うようになった。真っ先に娘に相談すると,「お父さんとお母さんの人生なんだから,ほんとうにやりたいことをしたらいいよ」と背中を押してくれた。

主の器となる喜び

「神様がおっしゃるところに行こう」と決め,任地については希望を書かなかったが,川島長老には小さな支部で宣教師や会員とともに奉仕したいという望みがあった。ところが召された札幌伝道部で求められたのは,伝道本部での働きだった。「はい,分かりました。」長老は二つ返事で応じ,夫妻は本部での奉仕を始めた。3か月程たった頃,アメリカ出身のある若い長老から感謝を伝えられた。日本語が堪能であった彼は,人手の足りない本部での奉仕に駆り出される可能性が高かったが,そうなるとフィールドで働く時間が限られてしまう。本部に川島夫妻の力が加わったおかげで,自分は「元気に外で伝道ができる」と喜んでいたのだ。伝道本部での奉仕は,若い宣教師の後方支援として大きな意義があった。初めての経験に戸惑うことも多いが,川島姉妹は「喜びに満ちた毎日」を過ごしている。「ほんとうに〔楽しくて,〕この気持ちをたくさんの人に味わってほしいと思います。……雪の音がとっても気持ちいいです。千葉で聞いたことのないような,雪を踏みしめる音を今,感じています。」自宅を離れて奉仕するシニア専任夫婦宣教師の場合,今回の変更に伴い,最高でも月額10万円程度を負担すれば伝道に出られるようになった。「それでこんなに楽しい時間を過ごせるなら,もう逃す手はありません。」川島長老は微笑みながら,真っ直ぐ聴衆に語りかける。川島長老の大好きな聖句は,「わたしは行って,主が命じられたことを行います。」主の命じられた伝道地,主の命じられた場所で働き,この聖句を体現している川島長老は,奉仕に携わる喜びを噛みしめている。「シニア宣教師に召されたことを,心から感謝しています。」

川島めい姉妹:「ただただすごいな」

川島ご夫妻の孫娘であるめい姉妹は,孫の視点から祖父母の伝道について語る。毎年夏休みになると,千葉に住む父方の祖父母の家に遊びに行くのが小さい頃からの恒例行事だったが,去年はいつもと異なり,飛行機に乗って北海道へ向かった。札幌伝道部で奉仕する祖父母のもとを訪れるためだ。─シニア専任宣教師は家族といつでも連絡を取ることができ,このように訪問を受けることもできる。家族の大切な所用があれば,伝道部会長の許可を受け,自費で伝道部外に出られるなど,柔軟な働き方が認められる。祖父母の暮らすマンションの窓からは美しい札幌神殿が見える。伝道本部を見学させてもらうと,祖父母以外にも,国内外から奉仕に来ているシニア宣教師がたくさんいた。「皆さんとても仲が良さそうで,楽しそうに召しを果たして〔いました〕。宣教師として,とても生き生きしている祖父母の姿は素敵だなと思っています。」めい姉妹の母方の祖父母は,同じく末日聖徒イエス・キリスト教会の会員だ。彼らもシニア宣教師として働くことを夢見ていたが,祖父が癌にかかり,一昨年天に召された。他界する少し前,祖父が家族の集まりで分かち合ってくれた聖句は今でも心に残っている。「わたしは戦いをりっぱに戦いぬき,走るべき工程を走りつくし,信仰を守りとおした。」パウロのように最後まで,心から愛する主のために働きたい,祖父は涙ながらに証してくれた。家族を養い育て,社会で懸命に働き,教会のために尽くしてきたにもかかわらず,さらに喜んで主の業に励むシニア宣教師たちに対し,めい姉妹は「ただただすごいな」と感じている。「祖父母がシニア宣教師として働き,模範を近くで示してくれることは祝福だなと感じます。……わたしたちはだれでも,それぞれどんな状況にいても主の弟子となることができて,主の弟子になろうとするときに助けと祝福を与えられるということを証します。」ここで,最近召されたシニア宣教師たちを取材したビデオプレゼンテーション(上画像)が流れた。召しを知らせるメールが届き,家族で開く。驚きと喜びの声が上がる……。彼らは動画の中で一様に,その喜びを,また伝道に出るにあたって乗り越えた悩みを率直に語っている。最後に,アジア北地域会長のジョン・A・マキューン長老が登壇した。

マキューン長老:伝道の精神を再び

歴史的に見て,日本の教会は伝道に大きく焦点を当ててきたと語るマキューン長老は,1980年代に日本で伝道した経験を持つ。若い人々が教会に集って英語を学び,活動を楽しみ,証を育む姿─会員たちが喜んで伝道に力を注ぐ姿を目の当たりにした。「この伝道の精神は教会の発展にとって重要なものでしたが,それは今も同じです。伝道の業に再び焦点を当てることは,日本の教会の将来のために欠かせません。」これこそが本ディボーショナルの目的であり,シニア宣教師の居住費に関する費用が減額となった理由だと語る。

柿の実のように

「日本の伝道活動に再び焦点を当てるうえで重要な役割を担うのは,シニア宣教師だと確信しています。長年教会で立派に奉仕してきた皆さんには,まだ貢献できることがたくさんあります。」最近,道端で美しい柿の木を見かけたというマキューン長老。葉はなかったが,実はついたままだった。クリスマスツリーのオーナメントのように実を輝かせる柿の木を見ながら,シニアの兄弟姉妹たちのことが思い浮かんだ。果樹は,年月を経て冷たい空気にさらされるほど実が甘くなる。「皆さんも時を経て,経験を積み,味が増しています。」

主の戦士として

教義と聖約には,果樹園のたとえが出てくる。果樹園の主人から,見張り台を築き,垣を巡らし,実を守るようにと命じられた僕たちは,言われたとおりに取りかかった。ところがその後,僕たちは作業を怠り,果樹園は敵の手によって荒らされてしまう。その状況を目の当たりにした主人は,同じ命令を繰り返すことなく,次のように呼びかけた。「わたしの戦士たち,わたしの家の勇士であるすべての僕たちの中の若者たちと中年の者たちを率いて行きなさい。」今度は実を「守るのではなく,攻めるようにと命じ」たのだ。「主人がわたしたちのような中年も仲間に入れて,戦士であり,勇士であると言ってくれたことに感謝しています。(わたしたちは)中年でしょう?」マキューン長老は胸に手を当て,ひょうきんにほほえむ。主はこのように続けておられる。「すぐにわたしの果樹園の地へ行き,果樹園を取り戻しなさい。それはわたしのものだからだ。わたしはそれを金で買ったのだ。」マキューン長老は,この聖句に出てくる「金」とは,「主の贖い」であると説明する。シニアの兄弟姉妹が「主の家の戦士」として守りから攻めに転じ,「福音を兄弟姉妹のもとに携えて行く」なら,主の贖いが人々にもたらされ,主のために多くの実を蓄えることができるのだ。

今すぐ計画し始めてください

「兄弟姉妹,主は皆さんに奉仕するよう求めておられます。……いつ伝道に出ることができるか,祈りをもって検討するようお招きします。日付を設定し,目標を設定してください。今すぐ計画し始めてください。〔可能な場合〕,今すぐ奉仕を始めるよう,皆さんをお招きします。」奉仕する中で主の御手を感じ,豊かな経験に恵まれるだけでなく,家族のうえに大きな祝福がもたらされ,子孫に素晴らしい受け継ぎを残すことができると約束する。「神は御自分の子供たちを愛しておられます。御父は御子を最も偉大な伝道に送り出されました。……わたしたちが主とともに働くときに,この喜びを味わえるようにと祈ります。イエス・キリストの御名により証します,アーメン。」◆