あなたも誰かの贈り主になれる
2025年、自動販売機ならぬ自動寄付機「GIVEマシン」が日本に初上陸しました。
これは、マシン上に表示される品目の中から、自分が寄付したいものを選んでお金を支払うと、必要とする人に支援団体を通じて、物品もしくはサービスが届けられる機械です。東京の大手町タワー地下2階「OOTEMORI森のプラザ」に置かれます。2025年11月24日に運用が開始され、12月25日までのクリスマスシーズン1か月間にわたって、寄付を募ります。
日本では今年、5つのチャリティー団体が主体となります。国内向けの支援を行うのは3団体です。
●「セカンドハーベスト・ジャパン」
“すべての人に、食べ物を”をスローガンに活動する日本最大のフードバンク。平常時や災害時の食糧提供活動に教会も協力してきました。
●「難民支援協会」
祖国の戦乱や迫害から日本に逃れて来て、公的支援を受けられずにいる難民を支援します。教会も資金援助しています。
●「グッドネーバーズ・ジャパン」
経済的に困窮している、ひとり親家庭の支援などを行っています。教会も資金援助しています。
海外向け支援は2団体です。
●「ケア・インターナショナル・ジャパン」
アメリカのチャリティー団体の日本法人です。今回はネパールと東ティモールの支援を行います。
●「国連UNHCR協会」
ウクライナやアフリカ諸国など、戦争や災害で家を追われた世界中の難民・避難民に、テントや仮設住宅などのシェルター(避け所)資材を提供する団体です。
これらの5団体から6つずつ支援品目を決めてもらい、GIVEマシンで寄付を募ります。一般の方、教会員を問わず寄付する人は、GIVEマシンに並ぶ様々な30品目の中から自分で選び、贈ります。寄付金は100パーセントが支援団体に渡され、寄付した品は、援助の必要な人のもとに確実に届けられるのです。GIVEマシンの企画、調達、運送、設置などの運営費は末日聖徒イエス・キリスト教会が負担します。あくまで各チャリティー団体が主体となる純粋な慈善事業であり、教会はGIVEマシンに関連して一切の布教活動を行いません。
このプロジェクトを率いるのは東京ステーク所沢ワードのレイ エドワード兄弟です。1982年に日本札幌伝道部の専任宣教師として米国ユタ州から初来日し、帰還後は大学院で日本語言語学の修士号を得ました。日本人の姉妹と結婚して日系企業に就職し、1991年に再来日、今日まで35年にわたり日本で暮らしてきました。
日本の寄付文化
レイ兄弟の目に映る、日本社会における寄付のイメージはこうです。「例えば駅前に高校生がいて『よろしくお願いします!』って言って、皆さんポケットに手を入れて小銭があればそこに入れる。あるいは、24時間テレビ(の募金箱)。こういうものがメインで、定期的に誰かが寄付しているとはあまり聞きません。チャリティーは、ちょっとアメリカよりは一般的ではないのかな。でも、GIVEマシンのプロジェクトリーダーになってチャリティー団体を回り、各団体の報告書を見ると、意外と多くの寄付金が集められています。有名な起業家が億単位で寄付されていたりして、表に出ない所で皆さんかなり寄付しているんだなと思いましたね。」
ブレイクスルーの瞬間
レイ兄弟は、教会の福祉部やGIVEマシンチャリティー委員会の方々と一緒に、GIVEマシンプロジェクトと提携してくれるチャリティー団体を探すため、幾つものNPO法人を訪れました。
「GIVEマシンをどう説明しようか、正直悩みました。たいてい最初は、『え?どういうことなの?』と話が通じないんですけど、何とか説明していくうちに、急に相手の顔色が変わる瞬間が来るんですよ、『ああ、なるほど、そういうことですか。これは面白い、画期的ですね!』と。寄付者と、実際に寄付を受ける人との気持ちの繋がりができることを理解して、『あ、これは
GIVEマシンプロジェクトの皆さんが口をそろえて『とても楽しいですよ』と言います。会う人会う人、そう言ってくれる瞬間に出会うんです。『ああ、分かってくれた、良かった』と、その度に大きな満足感がありますね。」
提携先を探して
当初は、提携先が順調に決まっていきました。しかし、後半の数団体がなかなか決まりません。
「そこで考え方を逆に切り替えて、もう既にアメリカで教会と提携している団体を探すことにしたんです。それらの日本法人にアプローチすると、幾つか会ってくれる団体がありました。そこで、「ワールドレポート」などから、アメリカにおいてその団体に教会が多額の寄付をしているニュースを組み込み、迫力満点のプレゼンテーションができました。その中から、ケア・インターナショナル・ジャパンと国連UNHCR協会との提携の話がまとまります。教会の絶え間ない活動の影響がグローバルに及んでいて、この日本で活動しているわたしにも大きな力を与えてくれ、堂々と行動できるようになりました。」
「わたしは福音を恥としない」
「例えば能登半島地震で教会がいろいろと奉仕しています。人道支援も、各地でボランティアもしています。それをあまり喧伝はしないのだけれど、報道でしっかり採り上げられた場合もあるわけです。人と接するときに誇りをもって伝えてもいい実績が本当にたくさんある。
聖句がありますね。『わたしは福音を恥としない。それは、ユダヤ人をはじめ、ギリシャ人にも、すべて信じる者に、
「きてごらんなさい」
「GIVEマシンが最初に登場したアメリカでは、クリスマスが近づくと毎年、地元のニュース番組に採り上げられ、最近ではクリスマスマーケットから『GIVEマシンを置いてほしい』と要望されるほど定着したそうです。このようにチャリティーへの資金獲得活動がなぜ『
GIVEマシンの一つの目的は『人が高められる』ということです。これは、人々がこれまで以上に気軽に、かつ思い出に残る方法で善を行うことを促す装置です。商品の代わりに提供されて人々が持ち帰るのは、アイテムを選ぶ楽しさ、贈るときめき、そして誰かの幸せを願う温かい心です。GIVEマシンで人が高められている様子を見ると、その素晴らしさが伝わって、『自分もそんな体験をしたい』という気持ちになります。だからこそ、巷のニュースに採り上げられたりSNSで広まったりするのだと思います。
また、もう一つの目的は新しい団体とつながることです。複数のチャリティー団体の品目がマシンにあるというシンプルな相乗効果もあります。そして活動を実現するにはマシン製造業者、設置場所を貸してくださる会社、運送会社、印刷会社、広告代理店など本当に多くの企業と接する必要があります。立ち番として奉仕してくださる方々の募集を含めると、宗教法人、市民団体、スポーツのチームなどにも輪が広がります。その都度、説明をしますので、じわじわとGIVEマシンについての認識が広がると同時に、『ぜひできることがしたい』と言われる団体も多くあります。
わたしと姉妹は日頃、カトリック教会のフードバンクでボランティアをしています。そこで『カリタス・ジャパン』が配っている組み立て式の『愛の募金箱』を見つけました。『いいなぁ』と感じたわたしは、子どもたちが寄付のためのお金を貯金できるように、カリタス・ジャパンにメールして『真似させてください』とお願いしました。彼らは快く返信し、親切にそのノウハウを教えてくださいました。ある姉妹が、本当にかわいいGIVEマシン型の貯金箱をデザインしてくれて、経験豊富な印刷会社に発注できました。
このように、縁あってすでに関係が強くなっている団体もありますし、せっかく『出会い』があっても、まだGIVEマシンを体験していない団体や個人も多くおられます。彼らも『きてごらんなさい』と招いて、実際にGIVEマシンと出会う機会があるといいなと思っています。」
クリスマスの精神
「宗教がチャリティーの活動をするのはアメリカ社会では当たり前なんですよ。『日本に寄付の土壌や習慣を幅広く根付かせたい』とチャリティー団体の方たちは希望しています。GIVEマシンに寄付をした子どもや大人の動画を見ると、本当に大きな笑顔になり、個人が高められています。」
この「個人」が選択の自由を行使して善い贈り物をすることが、GIVEマシンという仕組みの本質であり、クリスマスの精神そのものだとレイ兄弟は言います。「寄付であっても奉仕であっても、自分で決めて行動したことが、助けの必要な人に届くという実感がある。そして笑顔になります。ぜひGIVEマシンに来て、それを体感してください。」◆