「おこっていのれないときには」『フレンド』2025年10月号,4-5
おこっていのれないときには
ガブリエラは深呼吸をしました。どうしたら心が落ち着くのでしょうか。
このお話はドイツでの出来事です。
「だれもわたしのことを分かってくれない!」ガブリエラは寝室のドアをバタンとしめながらさけびました。その日は,大変な日でした。学校ではからかわれるし,家に帰れば不機嫌で,ムッティ(お母さん)に八つ当たりをしりました。
ガブリエラはベッドにバタンとたおれこむと,泣き出しました。なみだがほおを伝い,いかりでむねがしめ付けられます。こんな気持ちになるのはいやでした。
すると,初等協会で教わったことを思い出しました。助けが必要なときはいつでも天のお父様にいのることができる,と教えてもらっていたのです。気分が良くなるようにおいのりをしたいと思いましたが,イライラするあまり集中できませんでした。目をとじて,深呼吸をしました。どうしたら心が落ち着くのでしょうか。
数秒後,ある考えが頭にうかびました。
感謝していることを考えなさい。
ガブリエラは目を開けると,部屋を見回しました。かべには,ムッティとファーティ(お父さん)の写真がありました。ガブリエラは,家族にいらだちを感じていても,家族を愛していました。
「両親に感謝します」と言いました。
それから,いとこのグウェンドリン,リディア,トーマスのことを考えました。いつもおもちゃをかしてくれるし,笑わせてくれます。3人と遊ぶのが大好きでした。
「いとこたちに感謝しています」とガブリエラは言いました。
それから,まどの外を見ました。
太陽がしずみかけ,空はオレンジ,赤,黄色,ピンクなど美しい色にそまっていました。
「夕焼けに感謝します」とガブリエラは言いました。
そして,もっといろんなことを考えました。今日学校で食べたお弁当に感謝しました。友達に感謝しました。自分が住んでいるアパートに感謝しました。
感謝することを考えていると,楽しくなりました!ガブリエラは,自分の人生にどれほど多くの良いものがあるかに気づいていませんでした。
自分が受けている祝福について考えるというアイデアを,せいれいがあたえてくださったことに気づきました。気づくと,ガブリエラの心は平安に包まれていました。いのるじゅんびができたと感じました。
「愛する天のお父様」とガブリエラは言いました。「ムッティにおこってしまってごめんなさい。落ち着きと幸せをまた感じられるように助けてくださり感謝します。せいれいを送って,祝福を思い出させてくださり感謝します。イエス・キリストの御名により,アーメン。」
ガブリエラは部屋から出て行きました。ムッティとファーティは台所で夕食を作っていました。ガブリエラはムッティをだきしめました。
「おこってしまってごめんなさい」とガブリエラは言いました。
「いいのよ」とムッティは言いました。「あやまってくれてありがとう。」
三人は食卓をかこみ,食べ物を祝福しました。そのとき,いい考えがうかびました!
「一人一人順番に,感謝していることを言おうよ」とガブリエラは言いました。
ファーティはにっこりしました。「いい考えだね!」
「石けんに感謝しています」とムッティは言いました。
ファーティは少し考えてから
「ピザ」」と言いました。みんな声を上げて笑いました。
次はガブリエラの番でした。言いたいことはもう分かっていました。
「おいのりに感謝します。」
イラスト/シミニ・ブロッカー