ヨハネ4章,第1部
井戸に来た女
ガリラヤへの途中,イエスは,井戸のそばでサマリヤ人の女性に,御自身がお与えになる「生ける水」について教えられました。その女性は,イエスがキリストであられることに気づきました。この課の目的は,皆さんに自分が救い主を必要としていることを自覚してもらい,主の愛を感じてもらうことです。
フォローアップの質問をする。フォローアップの質問を投げかけると,生徒は学習したことを表現したり,福音の真理の理解を深めたり,それらの真理が自分の生活にどのように関係しているかを考えたりすることができるようになります。フォローアップの質問を矢継ぎ早に行わないように注意してください。通常は,幾つかの質問をし,生徒が慎重に答える時間を取る方がよいのです。
生徒の準備:『わたしに従ってきなさい-個人と家族用:2019年 新約聖書』のヨハネ2-4章の活動を生徒に紹介し,霊的な真理を教えるために利用できる日用品を自宅で探してもらいます。可能であれば,見つけた日用品をクラスに持参し,それを用いて教えることができる霊的な真理を説明する準備をしてきてもらいましょう。
学習活動案
イエス・キリストについて詳しく知る
生徒が「生徒の準備」の活動を行って日用品を持ってきた場合は,次の画像について検討する前にそれぞれ持ってきたものを見せてもらいます。
皆さんは聖文を研究していて,救い主は人々がよく経験することや普段使う物を挙げて霊的な真理を教えられることが多いことに気づいているかもしれません。次の画像をよく見て,水になぞらえることで救い主について学ぶことのできる霊的な真理についてよく考えてください。
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水はイエス・キリストとどのような関係があり,イエス・キリストについて何を教えていると思いますか。
必要に応じて,水をイエス・キリストになぞらえるのに役立つ次のような質問をしてもよいでしょう:「水もキリストも必要不可欠ですが,それはなぜでしょうか。」「わたしたちはどれくらいの頻度でそれを必要としているでしょうか。」「皆さんが今まででいちばん欲しいと思ったものは何ですか。イエス・キリストにいちばん助けてほしいと思ったのは,どのようなときでしたか。」
次の質問について深く考え,自分にイエス・キリストがいかに必要かを考えましょう:
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イエス・キリストを必要だと感じるのと同じくらい,日々の生活で水が必要だと感じますか。それはなぜですか。
この課では,一人の女性が,くみに来た水は体に必要だが,それよりも自分の霊に必要な救い主の方が大切だということを,救い主と話すことによって理解できるようになった話を学びます。学びながら,自分には救い主が必要だということと,救い主のみが与えることのおできになる祝福を受けてほしいという救い主の願いを認識できるよう助けてくれる御霊の促しに注意を払いましょう。
井戸に来た女
ユダヤからガリラヤへの旅の途中,イエスは,サマリヤをお通りになりました( ヨハネ4:3-4 参照)。「福音ライブラリー」の「学習ヘルプ」,「聖書の地図」の地図1:「 聖地の地図 」を使用し,これらの場所を特定するとよいでしょう。
救い主の時代,ユダヤとガリラヤを行き来するユダヤ人は,わざわざ遠回りをすることがありました。というのも,ユダヤ人とサマリヤ人の間に憎しみが存在していたために,サマリヤを通るのを避けていたのです。旅をしていたイエスは,日中の暑い時間に疲れとのどの渇きを覚え,井戸のそばに腰を下ろされました( ヨハネ4:6 参照)。イエスがそこにおられたとき,一人のサマリヤ人の女性が水をくみにやって来ました。
このレッスンの冒頭で,井戸に来た女性の絵を生徒に見せます。生徒はすでに,『わたしに従ってきなさい-個人および家族』の福音学習の一環としてこの話を学習している場合があります。次の内容を教える前に,生徒がすでに学んだことを発表する機会を設けてください。
ヨハネ4:5-14 でイエスがサマリヤ人の女性に教えられたことを学習し,救い主について何を学べるかを探しましょう。また,聖文を読みながら,ビデオ「サマリヤの女を教えられるイエス」(タイムコード0:00-2:01)を見てもよいでしょう。このビデオはChurchofJesusChrist.orgにあります。
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この聖句での救い主に対するその女性の行動を,皆さんならどのように描写しますか。その女性はなぜそのような行動を取ったのだと思いますか。
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イエスはこの女性に,生ける水を与えることができるという言葉で何を教えておられたのだと思いますか。
必要な場合は,生ける水とはイエス・キリストと主の福音を指すと説明してください。生ける水については,次の課でさらに深く掘り下げて学びます。
ヨハネ4:15-26 を読んで,イエスがこの女性とやり取りを続ける中で,女性に愛と憐れみを示しておられる箇所を探してください。この救い主の教えは自分にどのような関係があるのか考えてください。また,ビデオ「サマリヤの女を教えられるイエス」(タイムコード2:02-4:11)を見ながら,自分の聖典で同じ箇所を読んでもよいでしょう。
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この女性が主が与えてくださる生ける水を自分が必要としていることを悟れるよう,救い主はどのように助けられたと思いますか。
救い主は女性の罪を知っていながら,それを理由に彼女を見下すことはなさらなかったことを指摘してもよいでしょう。また主は,この女性が礼拝の本質を理解できるよう助けられました。人種や文化に関係なく,霊とまこととをもって神を礼拝するすべての人は神に受け入れられるのです。
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完璧な人間ではなかったにもかかわらず,この女性を救い主が助けようとされたことから何を学ぶことができるでしょうか。
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この話は,わたしたちが不完全であっても,救い主が一人一人についてどう感じておられるのかを理解するためにどのような助けになるでしょうか。
ヨハネ4:28-30 を読んで,イエスがメシヤであられることを知ったサマリヤ人の女性がどのような行動を取ったか調べてください。今読んだ女性の行動と,会話が始まったときに女性がイエスに対して取った態度を比較します。
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イエスとのどのようなやり取りによって彼女は変わっていったのだと思いますか。
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これまでにイエス・キリストから影響を受けて,あなたの考え方はどう変わってきましたか。
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イエス・キリストに近づくために,今日,皆さんは何を選んで行うことができるでしょうか。
七十人会長会のロバート・C・ゲイ長老は,この話からわたしたちが学ぶことができる心理を説明しています。ビデオ「イエス・キリストの御名を受ける」(タイムコード7:41-9:23)を見てもよいでしょう。このビデオはChurchofJesusChrist.orgにあります。
「わたしの好きな聖句の一つは, ヨハネによる福音書第4章4節 です。『しかし,イエスはサマリヤを通過しなければならなかった。』
なぜこの聖句が好きなのかというと,イエスにはサマリヤに行く必要がなかったからです。その時代,ユダヤ人はサマリヤ人をさげすんでいて,サマリヤを迂回する道を通って旅をしていました。しかし,イエスは御自分が約束されたメシヤであることを全世界に向けて初めて宣言するために,あえてそこに行かれたのです。それを伝える相手として,のけ者にされていた民を選んだだけでなく,女性を選ばれました。しかも,罪深い生活をしていた女性,すなわち,当時最も見下げられていた人を選ばれたのです。イエスがそうされたのは,恐れや心の傷,依存症,疑念,誘惑,罪,崩壊した家庭,うつや不安,慢性の病気,貧困,虐待,絶望,孤独などよりも主の愛の方が大いに勝ることを,すべての人が常に理解できるようにするためだったと,わたしは確信しています。御自分の力で癒して,永続する喜びへと導くことのできないものや人はないことを,すべての人に知らせたいと,イエスは望まれたのです。
主の恵みは十分なのです。主のみが,すべてのものの下に身を落とされました。主の贖いの力は,人生のどのような重荷をも克服する力です。井戸の傍らにいた女に与えられたメッセージは,主はわたしたちの生活状況を御存じで,わたしたちはどのような状況にあろうといつでも主とともに歩むことができるということです。この女とすべての人に向けて主は述べておられます。『わたしが与える水を飲む者は,いつまでも,かわくことがないばかりか,わたしが与える水は,その人のうちで泉となり,永遠の命に至る水が,わきあがるであろう。』〔 ヨハネ4:14 〕」
(ロバート・C・ゲイ「イエス・キリストの御名を受ける」『リアホナ』2018年11月号,99)
生徒に次の質問の答えを,学習帳に書いてもらいます。書き終わったら,それぞれの回答についてクラスで話し合ってもらってもよいでしょう。
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この課で,イエス・キリストについて何を学び,何を感じましたか。
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今日の学習で,どのような行動を取ろうと思うようになりましたか。
注釈と背景情報
ヨハネ4:4
イエスがサマリヤを通られたことはなぜ重要なのか
ユダヤ人とサマリヤ人との間に存在した確執のため,ユダヤ人は通常サマリヤを通らずにそこを迂回して旅をしていました。「サマリヤ人がイスラエルの宗教に背を向けていた」ことで(『聖句ガイド』「 サマリヤ人 」の項,scriptures.ChurchofJesusChrist.org),ユダヤ人は彼らに大きな憎しみを募らせていました。しかしヨハネは,イエス・キリストが「サマリヤを通過しなければならなかった」と記し( ヨハネ4:4 ),救い主がサマリヤでしようとされた業があったために意図的にサマリヤを通られたことを明確に示しています。
ヨハネ4:24
神は霊なのか
ヨハネ4:24 でイエスが神は霊であると言われたことに戸惑う人もいるかもしれません。この聖句のジョセフ・スミス訳は大切なことを明らかにしています。「神は〔真に信仰のある者〕に,神の御霊を約束されたからである。」 (ジョセフ・スミス訳ヨハネ4:26 ) 近代の啓示も,神は骨肉の体を持っておられると教えています( 教義と聖約130:22-23 参照。 創世5:1-3 ; へブル1:1-3 も参照)。
イエス・キリストとの会話は,井戸に来た女にどのような影響を及ぼしたか
中央若い女性会長のボニー・H・コードン姉妹は次のように教えています:
「キリストは思いやりの気持ちで〔井戸に来た女〕のことを理解し,必要を知っていました。彼女の理解に合わせ,身近なものについて話すことから始められました。主が会話の内容をそこでとどめておられたなら,楽しい交流で終わっていたことでしょう。しかしながら,彼女が町へ行き,次のように声を上げることはなかったことでしょう。『さあ,見にきてごらんなさい。もしかしたら,この人がキリストかも知れません。』〔ヨハネ4:29〕次第に,会話を通じて,彼女はイエス・キリストを見いだしました。過去の行いにかかわらず,彼女は光を伝える道具となり,人々が見えるように道を照らしたのです。」
(ボニー・H・コードン「彼らにも見えるように」『リアホナ』2020年5月号,79)
補足学習活動
この女性の視点の変化
ヨハネ4:9,11,19,29 でこのサマリヤ人の女性が救い主を何と呼んでいるか生徒に調べてもらいます。この呼び方の変化を基に,この女性のイエスに対する理解がどのように変化したのか話し合ってください。
「わたしの食物というのは,わたしをつかわされたかたのみこころを行〔う〕ことである」
使徒たちは,井戸に来た女性と救い主が会話をしている間,食物を買いに町に出かけていました。戻って来た使徒たちはイエスに幾らかの食べ物を差し出しました( ヨハネ4:31 参照)。生徒に ヨハネ4:32-34 を読んでもらい,救い主が,食べることではなく,何が大切だと言われたのか考えてもらいましょう。イエス・キリストについて,キリストが天の御父のすべての子供たちを愛しておられ,一人一人の成長を助けることに力を注いでおられることについて,この聖句からどのようなことが分かるか話し合ってもらいます。
畑は「はや色づいて刈入れを待っている」
ヨハネ4:28-29,39-42 のサマリヤの女の例と, ヨハネ4:35 のイエス・キリストの言葉は福音を宣べ伝えることについての話し合いを進める際に役立てることができます。刈り入れを待つばかりになっている小麦の画像を見せ,麦が収穫できる状態であることを説明し,それがしばしば「色づく」と描写されることを説明します。次の質問を話し合いの中でしてもよいでしょう:
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この女性が自分の証をほかの人に伝えたいと思うようになったきっかけは何だったと思いますか。彼女の模範に従って自分にはどのようなことができると思いますか。
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畑が「はや色づいて刈入れを待っている」と言って( ヨハネ4:35 ),救い主が使徒たちに教えられたこととは何だったと思いますか。
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皆さんの周りの畑で刈り入れを待つばかりになっているとはどのような状態ですか。