ヘブル7-10章
「永遠のあがないを全うされた」
これまでに,自分のイエス・キリストへの信仰が確認される必要があった経験がありますか。聖約の道にとどまるために特別な助けが必要だと思ったのは,どんなときですか。ヘブルの聖徒たちは,イエス・キリストへの信仰とその救済の力への信念を確信できることを切望しました。パウロの手紙は,その確信を与えるためのものだったのです。パウロは,モーセの律法自体が救いの真の源として,イエス・キリストとその贖罪を指していることを思い起こさせました。この課の目的は,モーセの律法における古代の象徴を理解できるよう助けることで,救い主であり贖い主としてのイエス・キリストへの信頼を強くすることです。
教師による提示も取り入れる。学習過程に積極的に参加することは,生徒が聖典の教義と原則を理解し,応用するのに役立ちます。しかし,それは教師が生徒に適切な方法で情報を提供する必要がまったくないわけではありません。時には教師が概念を説明し,明確にし,裏付けることで,生徒がより明確に理解できるようにしなければなりません。
生徒の準備:生徒に物を1つクラスに持ってきて,それがどのようにイエス・キリストの証となるか,またはそれを想起させるかを説明する準備をしてもらいましょう。例えば,消しゴムを持ってきた生徒は,イエス・キリストはわたしたちの罪を消し,許すことができることを思い出させる,と説明できるでしょう。
学習活動案
「すべてのものが〔イエス・キリスト〕のことを証するのである」( モーセ6: 63 )
できれば,授業前にテープかひもを利用して,床に幕屋(このレッスンの後半の図参照)の輪郭を描いておくか,生徒が見える所に図を描いておきましょう。代案として,このレッスンにある画像の一部または全部を表示して,授業の間に生徒が見えるようにしてもよいでしょう。
手近な物で,イエス・キリストを思い起こさせるか,その証に使えそうな物を探してください。その物の何が,イエス・キリストを思い起こさせる(または表す)のかを考えてください。
そして,その物を使って次の記述を完成させてください:
以下の未完成な文章を表示し,生徒がクラスの準備で選んだ物を使ってその文章を完成するようにしてください。これは二人一組,少人数のグループ,あるいはクラス全体で行ってもかまいません。
「__________________はイエス・キリストを思い起こさせます。なぜなら,________________________。」
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このような象徴とたとえを使うと,イエス・キリストとイエスが自分のためにしてくださったことへのあなたの理解がどのように深まりますか。
聖書には,神が造られたすべてのものがイエス・キリストのことを証するものであると書かれています(例えば, 2ニーファイ11:4 ; モーセ6:63 参照)。
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これを覚えておくことは,あなたにとってどのように助けとなりますか。
モーセの律法の執行と儀式は,イスラエルの民の心をイエス・キリストとその贖罪の犠牲に向ける「予型」または「影」としての役割を果たすようになっていました( 2ニーファイ11:4 ; モルモン書ヤコブ4:4-5 ; モーセ3:15 参照)。パウロはヘブル人への手紙で,モーセの律法と古代の幕屋の象徴について論じ,聖徒たちにイエス・キリストとその贖罪の必要性を思い出させました。パウロは,ユダヤ人の聖徒がモーセの律法に戻るのではなく,イエス・キリストに忠実であり続けられるように助けたいと望んでいたのです。このときの彼の教えは,救い主に忠実であるように努める現代のわたしたちの助けにもなります。この課は,聖書の象徴がどのようにイエス・キリストを示し,証しているかを理解する機会となります。
生徒の必要と授業時間によって,焦点を「メルキゼデクの位に従う祭司たち」の項か「古代の幕屋の象徴」の項に絞るか,または両方に当てるかを決めてください。
メルキゼデクの位に従う祭司たち
パウロのヘブル人への手紙によると,古代イスラエルの大祭司と他の祭司はイエス・キリストを象徴としました。
祭司の役割の一つは,人々と神の間に象徴的に立つ仲保者として行動することでした。祭司は,イスラエルの民の罪と背きに対して,動物の犠牲を毎日ささげることでこの役割を果たしていました( レビ1 ; ヘブル10:11 参照)。それが行われていたのが,幕屋です。
ヘブル7:22-28 を, ヘブル7:25-26 のジョセフ・スミス訳(「福音ライブラリー」の「学習ヘルプ」内にある「ジョセフ・スミス訳付録」)に注意しながら読んでください。これらの大祭司たちの行為が, イエス・キリストは,わたしたちの罪のために御自身の命を犠牲としてささげられたことを理解するうえで,どのような助けとなるかを探してみましょう。研究しながら,以下の定義について考えてみてください:
生徒が読みながら見られるように,以下の定義を表示しておきます:
ヘブル7:22 にある「保証」という言葉は,ほかの人の債務を保証する人のことを指しています。
「更にすぐれた契約の保証」とは,キリストによって確立されたより優れた福音の聖約を意味します。
ヘブル7:24 の「彼」はイエス・キリストを指します。
ヘブル7:25 の「いつも」は「完全に」そして「永遠に」を意味します。
以下の質問に対する答えは,生徒にそれぞれホワイトボードに書いてもらってもよいでしょう:
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これらの聖句のどの言葉が,あなたにとって最も意味深いものですか(複数可)。それはなぜですか。
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これらの聖句の中で,イエス・キリストは,わたしたちの罪のために御自身の命を犠牲としてささげられたことを教えているのはどれでしょうか。
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イエス・キリストについて何を知っていますか,またはイエス・キリストが自分を救ってくださると確信したどのような経験がありますか。
古代の幕屋の象徴
贖罪の日を説明しながら,幕屋の様々な部分を指していくとよいでしょう。
年に一度の贖罪の日( レビ16章 参照)に,大祭司は特別な動物の犠牲をささげてから,聖所(または至聖所)と呼ばれる,幕屋の特別な場所に入ることができました。幕屋のこの場所は,日の栄えの王国,すなわち神の御前を象徴していました。これらの犠牲と大祭司の行為には,大祭司であるイエスが,人々が神の御前に入るための道を準備するためにどのように犠牲をささげられたかを象徴するためのものでした( ヘブル9: 1-15 参照)。
可能であれば,ビデオ「幕屋」(7:18)を見てください。この象徴がさらに理解できます。このビデオはChurchofJesusChrist.orgにあります。
以下の活動ではクラスを半分に分け,半分は ヘブル9章 の聖句を,残り半分は ヘブル10章 の聖句を読んでもらいましょう。生徒が聖句を読みながら参照できるように,質問は表示しておくとよいでしょう。クラス内を回りながら,必要に応じて生徒に手助けするとよいでしょう。
ヘブル9:11-15,24,28 または ヘブル10:4,10-17 を読みながら,以下の質問への答えを探してください:
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あなたは救い主とその贖罪について,これらの聖句から何が学べるでしょうか。
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これらの聖句によれば,イエス・キリストの贖罪によって,どのような祝福がわたしたちにもたらされるのでしょうか。
生徒がこれらの聖句から真理を見いだすことができるようにします。生徒が見いだすことができそうな一つの真理は,イエス・キリストの贖罪によってわたしたちは罪から清められ,永遠の命を約束され得る,ということです。
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救い主の約束された祝福は,主があなたに求めていることについて何を教えてくれるのでしょうか。
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イエス・キリストがあなたのためにしてくださったことへの感謝を,どのように示すことができるでしょうか。
十分な時間を取り,生徒に次の指示について深く考え,学習帳に書いてもらいます。促しに従うように彼らを励まします。そしてイエス・キリストがわたしたちの救い主,贖い主であられるという証を分かち合ってください。
この課で比較と象徴を学ぶことが,イエス・キリストとその贖罪を深く理解するのにどのように役立ったかをよく考えてください。
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現代で,イエス・キリストを指し示す象徴は何でしょうか。
イエス・キリストについての象徴をもっと頻繁に探すようにすれば,あなたとイエスとの関係にどのように影響するかを考えてみましょう。個人の聖文研究の中でこれをより頻繁に行うにはどうすればよいか,聖霊を通して天の御父からの助けを求めましょう。促しを受けたら,それに従って行動します。
注釈と背景情報
贖罪の日とは何だったのでしょうか
年に1度の贖罪の日と呼ばれる(ヨム・キップールとも呼ばれる)ユダヤ教の聖日に,大祭司は後のエルサレム神殿である幕屋の中の至聖所(最も神聖な場所とも呼ばれる)に入ることを許されました。聖所のすぐ外にある犠牲の祭壇で,大祭司は雄牛とやぎを犠牲としてささげました。また至聖所の指定された場所に動物の血を振りまき,祭司の罪と民の罪に対するキリストの贖罪の象徴としました。大祭司はその後,民の罪を別の雄やぎ(身代わり,贖罪のやぎと呼ばれる)へと転嫁し,そのやぎを野に放すことで民の罪が取り去られたことの象徴としました。また,2頭の雄の羊を大祭司自身と民のための犠牲の燔祭としてささげました(Bible Dictionary,“ Fasts ”の項参照; レビ16:22 も参照)。
ヘブル8:6 ; 9:15 。イエスが「仲保者」であるとはどのような意味でしょうか
ビデオ「仲保者」(10:47)を見ると,救い主のこの重要な称号がよりよく理解できます。
補足学習活動
メルキゼデク神権
メルキゼデク神権に焦点を当てることが生徒にとって有益な場合は,『わたしに従ってきなさい』の「11月6-12日」の概説の「メルキゼデク神権はわたしをイエス・キリストに向かわせる。 」の項を使用するとよいでしょう。ヘブル7-13章:「すでに現れた祝福の大祭司」(『わたしに従ってきなさい—個人と家族用:新約聖書 2023年』)。メルキゼデク神権の儀式が,イエス・キリストに近づき,よりイエス・キリストのようになるためにどのように役立つかを生徒に考えてもらいましょう。
古代の儀式と現代の儀式
神権の儀式がどのようにイエス・キリストに向けられているのかということに焦点を当てるのが生徒にとって有益な場合は,『わたしに従ってきなさい』「11月6-12日」の概説の「古代の儀式も現代の儀式もイエス・キリストに目を向けさせるものである。 」の項を使用するとよいでしょう。ヘブル7-13章:「すでに現れた祝福の大祭司」(『わたしに従ってきなさい—個人と家族用:新約聖書 2023年』)。様々な異なる儀式がイエス・キリストをどのように証しているかについて,生徒に話し合ってもらいましょう。例えば,バプテスマはキリストの死,埋葬,復活をどのように象徴しているかなどを話し合うことができます( ローマ6: 1-6 参照)。
ヘブル10:32-39 。「確信を放棄してはいけない」
もし生徒が経験した霊的な体験やすでに知っている真理に焦点を当てることが,生徒の課題の克服に役立つようなら, ヘブル10:32-39 と十二使徒定員会のジェフリー R・ホランド長老の記事「確信を放棄してはいけない」(『リアホナ』2000年6月号,34-42)を研究するとよいでしょう。次に生徒に,この聖句やこの記事で発見した洞察を発表してもらいます。そして 彼らが「光に照された」ときに( ヘブル10:32 )「思い出して」もらい,それを学習帳に書いてもらいましょう。そして課題に直面したときに,これらの経験をもとに力を発揮できるよう励ましてください。