ヘブル12章
「主は愛する者を訓練し」
あなたが最後にだれかに訓練(懲らしめ)された,あるいは正(矯正)されたのはいつですか。それに対して,あなたはどう応えましたか。自分が正されたことに感謝したことはありますか。パウロはヘブルの聖徒たちへの手紙の中で,わたしたちの天の御父はしばしばわたしたちを正すことで愛を示されると説明しています。この課は,天の御父による訓練に謙遜に従うならば,さらに主のようになり,平安を感じられる,ということを学ぶのに役立ちます。
生徒のために定期的に祈る。天の御父は,一人一人の生徒を個人的に知っておられます。天の御父に祈るなら,生徒に何が必要なのかを見極め,その必要に応える方法を知るうえで助けとなる霊感を授けてくださいます。レッスン中や教えるための準備中に与えられる促しに耳を傾けましょう。
生徒の準備:神やだれかに誤りを正されて感謝したときのことについて考えておくよう,生徒に勧めます。
学習活動案
人生の競走
マスター教義聖句である ヘブル12:9 は,次の課でさらに深く掘り下げて学びます。授業時間が限られ,ヘブル 12章のレッスンを一つしか教えられない場合は,二つのレッスンを効果的に組み合わせる方法を考えてください。
次の画像(または類似の画像)を表示してください。
生徒が次の質問の答えを学習帳に書く前に,二人一組または少人数のグループで,人生はどのような点で競走のようなものかを話し合うとよいでしょう。
学習帳に,あなたの現世の人生が長距離レースのように感じる点のリストを作ってください。例えば,次のような答えが考えられます:
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疲れを感じさせるものは何か。
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あなたがこのレースで上手にできている点と,もっとうまくできる点は何か。
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どのような目的に向かって走っているのか。なぜそれが望ましいことなのか。
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なぜ人生のレースを完走するために助けが必要なのか。
「耐え忍んで走〔る〕」
使徒パウロはわたしたちの人生を競走にたとえました。 ヘブル12:1-2 を読み,人生の競走を走り抜くために行う必要があるとパウロが述べたことを探してください。なお, 第1節 で言及されている「多くの証人〔が〕雲のように」とは, ヘブル11章 に記録されている信仰の例を指しています。
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これらの節の中で心に残ったのはどの部分ですか。
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パウロの助言に従うことは,わたしたちが人生の競走を走り抜くうえでどのような助けとなるでしょうか。
パウロは 第2節 で,救い主は「自分の前におかれている喜びのゆえに」( ヘブル12:2 )十字架を忍ばれた,と述べています。ラッセル M・ネルソン大管長はこのように説明しています:
「では,主の前に置かれた喜びとは何だったのでしょう。わたしたちを清め,癒し,強める喜び,悔い改めようとするすべての人の罪の代価を払う喜び,わたしや皆さんが清くふさわしくされ,天の家に帰り,天の両親や家族とともに住むことを可能にする喜びが含まれていたはずです。」
(ラッセル・M・ネルソン「喜び—霊的に生き抜く道」『リアホナ』2016年11月号,83)
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十字架上で救い主が目を向けられていたものは,あなたに対する主の気持ちについてどのようなことを教えているでしょうか。
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十字架上でのイエス・キリストについて知ることは,困難なときでも喜びを味わううえでどのように役立つでしょうか。
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人生の困難なときに,あなたが目を向けることができる喜びにはどのようなものがありますか。
主からの懲らしめを耐え忍ぶ
だれかがあなたを正したときのことと,あなたがそれにどのように応えたかを考えてください。
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人があなたを正した理由は何ですか。
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人に正されることがつらい場合があるのはなぜでしょうか。
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正されたことにあなたが感謝したのはどのようなときですか。それはなぜですか。
以下の聖句の場所を表示し,生徒を少人数のグループに分けてその節を研究し,関連する疑問について話し合ってもらうとよいでしょう。各グループから一人ずつ,特に役に立った答えや洞察に富むと感じる答えを発表してもらいましょう。
ヘブル12:5-7,9-11 を読んで,パウロが懲らしめと矯正について何と教えているかを探してください。
ヘブル12:8 にある私生子という語について質問されたら,パウロの時代に未婚の親に生まれた,法律上の相続権を持たない子供を指すと説明してください。
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これらの節は,天の御父がわたしたちを懲らしめられる目的について何を教えているでしょうか。
ヘブル12:10-11 をもう一度復習し,次の真理をどのように完成させることができるかを探してください:
天の御父の懲らしめに従うならば,わたしたちは……
数人の生徒に,気づいたことを発表してもらいます。必要に応じて, 第10節 の「そのきよさにあずからせる」という語句と, 第11節 の「それによって鍛えられる者に,平安な義の実を結ばせるようになる」という語句を指摘して,次のような真理を見つけるのを助けてください。
真理を表す文章の完成例:「天の御父による訓練に心から従うならば,わたしたちはもっと神のようになり,義がもたらす平安を感じるようになる。」
十二使徒定員会のD トッド・クリストファーソン長老は,主から受ける懲らしめについて次のような洞察を与えています:
「神がお与えになる懲らしめには,(1)悔い改めを促す,(2)精錬し,聖める,(3)神が御存じのより良い道へ生活を方向転換させる,という少なくとも3つの目的があります。 ……
…… その助けを進んで受け入れるときに,必要ないさめが様々な形で,また様々な場所から与えられます。それは祈りをささげているときに神が聖霊を通して思いと心に語りかけてくださる方法であるかもしれません〔 教義と聖約8:2 参照〕。祈りに対して,『いいえ』など,自分の期待と異なる答えを受けるという形を取るかもしれません。聖文を勉強することによって,自分の欠けている点,不従順あるいは怠っている事柄に気づくことが懲らしめとなる場合もあります。」
(D・トッド・クリストファーソン「すべてわたしの愛している者を,わたしはしかったり,懲らしめたりする」『リアホナ』2011年5月号,98,100)
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クリストファーソン長老の言葉によると,天の御父がわたしたちを懲らしめ(訓練し)たり,正し(いさめ)たりする方法にはどのようなものがありますか。
できれば,ビデオ「神の御心」(3:01)を見て,大管長会のヒュー B・ブラウン管長(1883-1975年)がどのように神の訓練に助けられたかを見てください。このビデオはChurchofJesusChrist.orgにあります。
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このビデオを見て,あなたの人生に役立つどのような思いや気持ちを抱きましたか。
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天の御父による懲らしめに従うことで,どのように平安を感じ,もっと主のようになれるのでしょうか。
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天の御父による懲らしめのおかげで平安を感じ,さらに主のようになれたという,どのような経験がありますか。
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その経験は,神に対するあなたの気持ちにどのような影響を与えましたか。
生徒が自分自身の経験について考える助けとして,神の懲らしめの一例を共有するのもよいでしょう。あまりにも個人的なものや私的すぎるものは控えるよう,注意してください。
十分な時間をかけて生徒に次のことについて深く考え,活動を行ってもらい,受けた印象に従って行動するよう励ましましょう。
今日を振り返って,学んだことや感じたことであなたの人生に役立つことについて熟考してください。自分の考えや,受けた印象を書き留め,それらに基づいて行おうと思うことも記録してください。
注釈と背景情報
わたしが人生の競争で他人より遅れていると感じたら,どうすればよいですか
十二使徒定員会のジェフリー R・ホランド長老は,次のように説明しています:
「わたしたちは,豊かさや才能,美しさ,祝福の多さを競っているわけではありません。わたしたちが本当の意味で競っているのは,罪との戦いです。」
(ジェフリー・R・ホランド「ぶどう園の労働者たち」『リアホナ』2012年5月号,31)
天の御父の訓練(懲らしめ)は,わたしたちへの愛をどのように示しているでしょうか
七十人のタニエラ B・ワコロ長老は,自らの人生とジョセフ・スミスの人生から,懲らしめにより神が愛を示された例について述べています。
これらの例は「God Loves His Children」 のタイムコード5:23-8:04で見ることができます。
聖文は,主の訓練の数多くの目的を証明しています。 ヘブル12:10 で,パウロは,主が「わたしたちの益のため,そのきよさにあずからせるために」,わたしたちを訓練してくださると教えました。主の矯正は「それによって鍛えられる者に,平安な義の実を結ばせ」ます( ヘブル12:11 )。主の訓練は様々な形を取り,それらは常に個人を教える助けとなり,必要な矯正も提供してくれます。訓練は,人が主を覚え,悔い改め,赦しと救いを受け,従順を学び,金のように精錬される助けとなります( ヒラマン12:3 ; 教義と聖約1:27 ; 95:1 ; 105:6 ; ヨブ23:10 参照)。
十二使徒定員会のD トッド・クリストファーソン長老は,主の訓練(懲らしめ)について次のように説明しています:
「完全な御方すなわち『キリストから賜わる賜物のはかりに従って』生活を整えようとするときに ( エペソ4:13 ),いさめは重要な意味を持ちます。パウロは神から正され,懲らしめを受けることについて『主は愛する者を訓練〔される〕』と述べています( ヘブル12:6 )。堪え抜くことが難しい場合もしばしばありますが,自らを改善するために割く時間と努力自体に神が価値を認めておられることを,わたしたちは喜ぶべきです。」
(D・トッド・クリストファーソン「すべてわたしの愛している者を,わたしはしかったり,懲らしめたりする」97-98)
補足学習活動
ヘブル12:1 。「多くの証人〔が〕雲のように」
生徒が「多くの証人〔が〕雲のように」という語句の意味をよく理解できるように,雲(cloud)には「密集,大群」の意味もあることを指摘するとよいでしょう(James Strong, The New Strong’s Expanded Exhaustive Concordance of the Bible [2010], Greek Dictionary section, entry 3509)。
生徒に,自分にとってイエス・キリストの福音が真実であることの証人だと思う人々のリストを作るよう言います。まず生きている人々から始め,亡くなった人も含めてかまいません。生徒数人に,この「雲のような証人たち」が人生を通じてどのように彼らを励ますことができるか,または励まされたかを話してもらいましょう。
ヘブル12:5-7,9-11 。矯正の受け取り方
矯正を受ける方法についての話し合いが生徒に有益なようなら, ヘブル12: 5-7,9-11 を読んで,どのように主から矯正を受けるべきかについてのパウロの助言を探してもらうとよいでしょう。以下の各語句や言葉が,どのように主の訓練を受け入れられるかについての生徒の理解をどのように深めるかを考えてもらうとよいでしょう:「軽んじてはいけない。……弱り果ててはならない」( 5節 ),「耐え忍びなさい」( 7節 ),「うやまう」そして「服従し」( 9節 ),「訓練」または「鍛えられる者」( 11節 )。
こうした方法で神の矯正を受けるのに必要なキリストのような属性を,生徒に特定してもらいます。自分が伸ばしたいキリストのような特質を選び,その実行プランを作ってもらってもよいでしょう。